家賃値上げの通知が届いた?拒否できる理由とトラブル回避策


もしかして「家賃、値上げしますよ!」って書類が、不動産会社から届きましたか…?
- 賃料改定についての通知
- 賃料改定合意書
- 賃料改定に関するお知らせ
こんな書類が急にきて、とつぜん家賃が値上がりするなんて、びっくりしますよね…。
でも、大丈夫。
慌ててサインする前に、この記事を読んでください。
なぜなら、その家賃値上げは拒否することができるからです。
この記事では、正しい判断材料と具体的な拒否方法を解説します。
ちょっとだけ前置き
なんか情報にバイアスかかってない??

このあと詳しく書きますが、ほとんどの場合、家賃値上げ通知書(※家賃の値上げに関する通知・お知らせ)は、法的に断ることができます。
でも試しに、「家賃 値上げ」でググってみると……
- 煮えきらない言い方の情報、多くね?
- 「一定の条件があれば…」とか、それっぽいこと書いてる
- 「正当理由」とか、それっぽいこと書いてる
- 「強制退去」!?ちょっ、なんか怖いんだけど…
こんな感じで、結局拒否していいのか分からんし、不安が拭えない記事ばっかり。
それもそのはず…
ほとんどの記事が、大家さん(不動産会社)側の立場で書かれた情報だからです。
「情報、かたよってませんか!?」
これが僕の正直な感想です。
だからこそ徹底的に入居者側によりそった、わかりやすい情報を出そう!
と思い立ったシーサーです。
シーサーだからと侮るなかれ。
僕は「宅地建物取引士」「賃貸不動産経営管理士」という専門資格を持ったシーサーなのです!


不動産屋さんで働いていたシーサーが、ぶっちゃけます
結論:その家賃値上げ拒否できます
家賃値上げはあくまで「お願い」

なんだか恐ろしいしい封筒、紙……”家賃値上げ通知書”がお手元にありますか?
「価格改定のお知らせ」「ご案内」「原則同意」など、これからの値上げがまるであたりまえであるような文言が並んでいるかと思います。
(「お願い」と書かれていれば優しいほうです)
実は、その紙の真意は「家賃値上げしたいから、”同意”してくれないでしょうか〜?」ということです。
そう、あくまで「お願い」なのです!
なので、拒否することができます!!
(法的な権利があります)
拒否したことを理由として、強制的に退去させることもできません!
(むしろ法律では「強制退去はムリ!」ということが示されています)
拒否できる理由
拒否できる正当な法的根拠がある

借地借家法第32条に基づく「借賃増減請求権」により、借主には賃料増額請求を拒否する権利があります
と言われても

えっ???????
ってなりますよね…。
ここでお伝えしたいのは「ちゃんと法律に基づいて拒否する権利があるから、安心してね」ってことです。
むずかしい話は省きますが、家賃を変更するには大家さんと入居者さん、両方の”同意”が必要です。
法律でしっかりルールが決められています。
この法律(借地借家法)は、入居者を守ることを目的としています。
値上げの発動条件(両方の”同意”)は、こんな感じです↓
大家さん(もしくは不動産会社)
「家賃、値上げしてもいいかな〜??」
|ω・`)チラリ
入居者さん
「え〜…まぁいいですよ」
サインφ(・ω・`)
と、ここで初めて家賃の値上げが可能となるわけです。
そして、口約束での言った言わなかったを無くすために届いたのが、あなたのお手元にある家賃値上げ通知書というわけです。
この書類で入居者の同意を得られない限り、大家さん(不動産会社)は値上げするのが非常に難しくなります。
でもこれだけは確認して!
あなたの契約は”普通借家契約”ですか?

ここまでで、家賃値上げを拒否できることをお伝えしました。
ただし、1点だけ絶対に確認してほしいことがあります。それは、
ということです。
“普通借家契約”でなければ、話は一転……拒否することは難しいです。
逆に言えば、“普通借家契約”であれば先程の法的な根拠のもと拒否できます。
“普通借家契約”以外の種類で、”定期借家契約”というものがあります。
(契約の種類は、基本的にこの2種類のどちらかとなります)
ここでの話をシンプルにするために、”定期借家契約”についてはまた別の記事で解説します。

ほとんどの場合が“普通借家契約”なので、この先はその前提で話をすすめますね

また今回のお話は”住居”が前提なので、月極駐車場の契約はあてはまりません!
「契約している種類がわからない」
「契約書を確認したけど不安…」
という場合は、一度以下の方法で確認してください。
無料で今すぐ、正確に確認できます。
- 契約書の写真を撮る(文字がハッキリ写るように!)
- 写真を生成AI「ChatGPT」に渡す
- 「この契約は普通借家契約ですか?」と質問する
契約書の文字がはっきり認識できる写真であれば、ほぼ100%の確率で正しい答えを「ChatGPT」が教えてくれます!
文字をきれいに撮る方法として、iPhoneをお使いでしたらメモアプリを長押しすると「書類をスキャン」って機能があります。
ぜひ試してみてください!!

更新時期でも拒否できる

通常 1年〜2年に一度、契約の”更新”時期があります。
安心してください。
“更新”のタイミングでも問題なく拒否できます。
“普通借家契約”であれば、法定更新といって更新は自動的に行われるということが法律として決まっています。
「じゃぁこの更新時期ってなんの意味があるの?」
という疑問があるかと思います。
ざっくり言いうと、大家さん(不動産会社)側の事務処理の都合が大きいです。
一定期間経過したら、入居者の人数(家族構成)とか、勤務先とかが変わってないかな?と確認するためのタイミングと思ってください。
この更新時期と、家賃値上げはまったく別の内容です。

更新時期だろうがなかろうが、雨の日も台風の日も、おはようからおやすみまで、問題なく拒否できます
大家さん、不動産会社のホンネ
同意がとれたらラッキー
大家さん(不動産会社)側としては、値上げの「同意」がとれた証拠を手に入れることができれば、家賃の値上げをすることができます。
この証拠となり得るものが、今あなたが返送しようか悩んでいる1枚の紙です。
もしこの家賃値上げ通知書にサイン・押印して返送したら、もうあとには引けません…。
手遅れです。同意した証拠が残っていますので。
とても優しい大家さん(不動産会社)であれば、お願いしたら取り消しできるかもしれません。
でも、この時点では立場は逆転して、こちら(入居者)がお願いする立場となります。
つまり、大家さんはこちらの「取り消しのお願い」を断ることができます。
もちろん大家さん(不動産会社)は、同意書を手に入れられなければ勝手に値上げできないことを重々理解しています。
なので多くの場合、あたかも同意しなければならないような書面、文面で家賃値上げ通知書を送りつけてくるわけです。
心のうちは、

ビビって同意してくれればラッキ〜
というわけです。
言い方はちょっとアレですが…これがホンネです。
なぜそんなことがわかるのかって…?
僕自身が値上げ通知書を作成して、入居者さんに送りつけていたからです。
正当理由を示すのはマジでめんどくさい
こちらが値上げを拒否しても、法律では「正当な理由」があれば値上げできることが示されています。
ググるとこの「正当な理由」についていろいろ小難しいことが書いてますが、ここでは無視して大丈夫です。
この「正当な理由」は、ほとんどの場合関係することがないからです。

例えば、周辺の家賃相場がめちゃくちゃ上がっているとか、建物の設備が大幅によくなったとか。普通はあまりないですよね
ここでのポイントは「めちゃくちゃ」「大幅に」の部分です。
- 隣のマンションの一室が同じ間取りで家賃が高い
- 既存の設備が入れ替わって新品になった
- オートロックや監視カメラが新しく取り付けられた
- 耐震工事などの大きな工事が行われた
この程度では「めちゃくちゃ、大幅に」とは、まだまだ言えません。
これだけでは「正当な理由」とすることは現実的には厳しいです。
仮に本当に「正当な理由」があるとしても、値上げを断ること自体は問題にはなりません。
「お願い」に対して「拒否します」とお返事するというだけなので。
大家さん(不動産会社)が「正当な理由」をもってして、入居者さんの同意ナシに値上げを強行する場合、その根拠を明確に示すことが義務付けられています。
この義務が非常にめんどくさい!!
根拠を示すくらいならもう値上げは諦めよう…。
というのが、大家さん(不動産会社)側のホンネです。
この「正当な理由」となる根拠を示すためには、多くの時間とお金がかかってしまうため、現実問題として採算が取れません。
そして、値上げを諦めるという判断になるのです。
補足(ちゃんとここまで読んでね)
ちゃんと書面で拒否しよう
実際に値上げを拒否する場合は、届いた通知書にその旨を明記して返送しましょう。
- 「賃料改定はお断りします」
- 「原契約内容での更新を願いします」
といった書き方でOKです。
説明したとおり、同意書がなければ値上げはできません。
それでも言った言わなかった問題を回避するために、明確に書面で意思表示(返送)することを強くオススメします。
返送前に、書類は写真を撮ってひかえのデータを残しておきましょう。
値上げ条件が契約書に記載されてたら?
そもそも契約書の内容が”無効”となることが多いです。
最初(入居段階)の契約で、不確実な未来の値上げを確約する場合、ものすごい縛りがあります。
とっても細かく内容を定めて記載しないとダメってことです。
この内容についても不安であれば、契約書の写真を「ChatGPT」に渡して、
「この契約書の内容で、家賃値上げを承諾する義務はありますか?」
と質問してみてください。
拒否したのに値上げされたら?
どんな場合でも、大家さん(不動産会社)は100 %値上げが不可能というわけではありません。
でも、それを無理やり押しとうそうとしたらアウト。
もし、強制的に値上げされたり、同意を強要された場合は、然るべき窓口に相談しましょう。
その窓口こそ、「消費生活センター」です。
タダで専門的な相談ができる、入居者の強い味方です。
お住まいの最寄り「消費生活センター」窓口がわからない場合は、消費者庁の消費者ホットラインに電話で確認することができます。
消費者ホットライン
https://www.caa.go.jp/policies/application/inquiry/
居住エリアを「ChatGPT」に教えて、窓口を聞くのもアリです。
「必ず拒否しろ」ってわけじゃない
徹底的に入居者側の立場で、家賃値上げは拒否できることをお伝えしてきました。
ただし「拒否できる」という権利を知ってほしかっただけで、「絶対に拒否しろ!」という話ではありません。
大家さんとの関係や、お互いの事情もありますよね。
例えば、月額5,000円の値上げの案内がきたのであれば、
「さすがに5,000円は厳しいけど、1,000円くらいなら…」
こんなふうに交渉して、お互い納得できる落としどころを見つけるのも一つの手です。
実際に、シーサーも今お世話になっている賃貸マンションで、

今まで定額(月4,000円)だった水道料金、実際に使った量の実費で請求させてください。
と実質値上げのお願い通知がきました。
最近、外壁塗装工事をして建物をきれいに保ってくれていたことから、こころよく承諾しました。
まとめ
- “普通借家契約”なら家賃値上げは拒否できる
- まずは契約の種類を確認しよう
- 更新時期でも拒否できる
- 困ったり悩んだときは相談できる窓口もある
- それらを知ったうえで、どうするか判断しよう
ということでした!
値上げ通知の同意は義務ではないことを知ったうえで、適切な判断をしてほしいです。
実際にお断りのお返事をしたら、そのあとは音沙汰ナシ
ほとんどがこの結果になるかと思います。
どうでしたか?
この記事が、ひとりでも多くの入居者さんの役に立ったなら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!